鎌倉に恋して

ひとりで、大好きな鎌倉にひたすら行きまくっているブログです。

子どもと鎌倉#1北鎌倉・東慶寺と葉祥明美術館

3月下旬の日曜日。

家族が鎌倉に付き合ってくれることになり、はりきってコースを考えた。

いつものぼっち鎌倉を愛しているのだけど、誰かと一緒に行くとなるとそれはそれで心が躍る。

家族にも希望を聞いて、

 

  1. 小学生の子どもの希望であるハイキングコース
  2. 今、1番、人におすすめしたい覚園寺
  3. 最後に小町通りをぶらぶら&コクリコのクレープ

この3つを柱にして順路をたてることにした。

 

そうして考えたのが、北鎌倉でスタートして建長寺からハイキングコースに入り、覚園寺を参拝、その後町おこし的な雰囲気が楽しい鎌倉宮にお詣りして、小町通りにゴールする、というコース。(もちろん全て歩き)

道中で大好きな東慶寺の本尊を皆に紹介し、葉祥明美術館で芸術にも触れ、余裕があれば瑞泉寺と荏柄天神社と鶴岡八幡宮にも参拝したい。

うーん、カンペキではないか。 

3日くらい前から子どもみたいにウキウキして、日曜を迎えた。

 

当日はお天気にも恵まれた。

予定通り北鎌倉駅に降り立って、まずは東慶寺に向かう。

 

東慶寺は北鎌倉駅の西口(円覚寺とは反対側の出口)から鎌倉方面に歩いてすぐに位置する、モダンで美しいお寺。

無料で拝観できる。

小さな山門を入ると、綺麗に手入れされた花々の庭が迎えてくれる。特に梅や花菖蒲は数も多くてよく知られる。花の季節に合わせて拝観すると、より良いと思う。

境内全体に仰々しくなくてさりげない落ち着いた美しさが漂っている。

ここは鎌倉時代から明治時代に至るまで鎌倉唯一の尼寺だった。

また、江戸時代は女人救済の縁切り寺として機能していた。そのため、時代劇などでちょくちょく駆け込み寺の舞台として登場する。

 

毎月18日に御開帳される水月観音像が有名らしいのだが、なんと言ってもまずはご本尊。

像高91センチ、木造の釈迦如来坐像。

仏様相手にこんな事を言っていいのか分からないけど、とにかく、

ハンサムなのだ。

初めて拝観した時は、ハッとしてその場から動けなくなった。一目惚れだった。

時期的に混んでいたのでそんなに長い時間拝めなかったけれど、帰り際も名残惜しくて、何度も何度もしつこく見に行った。

精悍なお顔立ち。引きしまった体躯。遠く海風を感じさせるような爽やかな面影。慈悲に満ちた眼差し。

好きだ。

色もいい。あか抜けている。

本尊がこんなにハンサムなのは尼寺だったことと関係あるのだろうか、とまたふとどきな事を考える。

夫と子どもに どや!とばかりに紹介したが、あまりぴんときていないようだった。

 

東慶寺の後は線路を渡って 葉祥明美術館へ。

葉祥明さんや黒井健さんの絵が大好きで、ここ葉祥明美術館は北鎌倉に来た際はかなりの頻度で立ち寄る。

ほぼ2ヶ月ごとに催し物が変わるので、何回行っても行きたくなる。

ホームページに割引クーポンがあって提示し、大人500円 小中学生250円。

こんなにお手頃な入館料で葉祥明さんの世界を堪能できるのだ、そりゃ頻繁に行きたくもなる。

小さな庭を抱える小さな洋館の美術館。一歩展示室に入れば、そこは癒しの宝箱。

癒し、安らぎ、癒し、これでもかの優しい世界観に、毎回必ずどこかのポイントで泣いてしまう。

今回の展示は詩がメインで、絵が少なかった。

それは残念に感じたけど、やっぱり途中で泣いてしまった。

人生に全く苦難を抱えていない人にはもしかしたら向かないのかもしれない。でもきっとそんな人いないだろう。

だって終わらない命なんてないのだから。変わらないものなんてないのだから。

初めてここに来た時、親の病気が見つかったばかりで、私にべったりだった中学生の長子が急激に離れていゆくことに戸惑っていて、他にも心配事が肩にのしかかって、考えなきゃいけない事がたくさんあって、あまりにもいろんな事がどんどんくるから、しんどくて、何かに追いかけられているような、全てを投げ出したくなるような、そんな毎日だった。

そしてふと入ったこの美術館で葉祥明さんの絵と言葉を見ていると涙が出てきた。20分くらいずーっと泣きながら館内を周った。

決して難しくない、知ってるような言葉であっても、誰かにそれを言ってほしい時があるのだ。

言ってもらって、おかしなくらい胸に響くことが。

なんだかエモい文章になってしまった。

独特のタッチの可愛らしい風景画は、眺めていると音がなくなるような静けさがある。その静けさが心地良い。

 

今日もたくさんの優しさをチャージして、美術館をあとにした。