今日のコース
- 報国寺
- 明王院
- sawvi
七夕も近いある日の鎌倉。
連日の猛暑に体も心もバテ気味な今日このごろ。今回は涼を求めて散策することにした。
涼しい鎌倉。
そう考えてまず頭に浮かんだのが、報国寺だった。
奥深い谷戸に開かれた、鎌倉一の竹林の庭が有名なお寺である。
鎌倉駅から若宮大路を通り金沢街道に出て、ひたすら真っすぐ歩くこと15分。バス停『浄妙寺』の手前で右に入り、しばらく進むと山門が見えてくる。
山門をくぐると、本堂へと続く庭のようなアプローチ。
丁寧に手入れされたなだらかな参道で、すでに五感が癒やされる。
本堂をお参りしてから、竹の庭へ。
拝観料は300円。庭の奥にある茶席でいただける抹茶をつけると900円。
報国寺はどちらかと言うとこのお庭がメインなので、訪れた際は必ず拝観することをおすすめする。


まずは入って右手の枯山水の中庭へ。ベンチに腰掛け、汗が引くのを待った。
美しい庭、流れる水の音、時おり額をなでてゆく風。気持ちが良い。
平日の午前中、参拝者も少なく静かだった。
切り立った岩肌にすっぽりと包まれるように開かれた境内。
座って周りを取り囲む木々を見上げていると、まるで穴蔵の中に居るような安心感を覚える。
こんな風に感じることもあるんだな。
いつもいつも見晴らしの良い場所にいたいわけじゃない。そんな時もある。
奥に行くと、その岩肌にやぐら群を見ることができる。
古都鎌倉に無数に残っているやぐらは、鎌倉時代から室町時代にかけての横穴式墳墓。4方を自然の要塞に囲まれ平地の少なかったこの土地では、死者を供養するためにこのようなやぐらがたくさん造られたのだった。
ここ報国寺のやぐらは、足利氏一族のものだそう。
順路に従い、竹林の中に進む。
青葉の茂る竹林は、清涼感たっぷり。
その直線の連なりを見ているだけで、涼しい気分になる。
報国寺は竹だけではなく苔も美しく、谷戸のしっとりとした空気感がたっぷり溢れるお寺。
竹も苔も一年中楽しめるので、真冬にもおすすめだ。
紫陽花もまだ少し残っていた。


1番奥に竹林を臨むように茶処があって、そこで抹茶を飲むことができる。
座ってしばらくぼーっと眺めていると、身も心も浄化されていくように感じる。
気がつけば、ここ数日緊張気味でざわざわしていた心が、しんと落ち着いていた。
植物の力というのは、侮れない。
特に竹には、心と体の温度を下げてくれるような、鎮静作用があるように感じる。
できれば足早にではなく、ゆっくりと時間をかけて拝観したいお寺だ。
心身お疲れ気味という方はぜひ。