朝起きて、極楽寺に行こうと決めた。
予想最高気温が35度と出ている猛暑の日。メインエリアの喧騒を想像すると、大好きな鎌倉でもさすがにちょっとムリ、と思った。
こんな日は極楽寺に限る。
とにかく無理しない、と自分に言い聞かせながら向かい、鎌倉駅でそのまま江ノ電に乗り換える。
15分に1本しかない江ノ電はタイミングがずれるとものすごく時間をロスして歯がゆい思いをするけれど、ひんやりと涼しい車内に座りながら長谷や極楽寺に連れてってくれるのだから有り難い存在だ。
強すぎる陽光に包まれた、江ノ電ならではの車窓の風景も、今日は格別に感じる。
7分で到着。
極楽寺は、期待通りの長閑さだった。
ほとんど人が歩いていない駅前の一本道の両脇に、たくさんの紫陽花が揺れている。もう7月も半ばなのに、そんなところものんびりしている。
とりあえずお腹が空いたので、その1本道を稲村ヶ崎方向に2分歩いたところにあるSOMETHING'S COFFEEHOUSE (サムシングス コーヒーハウス) へ向かった。
最近、散策が飲食店メインになっていて、鎌倉に対して反省している。
でも鎌倉に恋してるからこそ、入ってみたいのだ。好きになった相手の、細かい部分を知りたくなるのと似ている。
SOMETHING'S COFFEEHOUSE (サムシングス コーヒーハウス)は、でん、と大きな一軒家の1階部分がカフェになっていて、2階のベランダには洗濯物が揺れていた。
入ってまずカウンターで注文と会計を済ませて、好きな席に座る。
中央に大きな大きなテーブルとそれを囲むようにいくつかの2名席や1名席、カウンターも4席ほど並んでいた。2人連れのお客さんが、窓際のテーブルでコーヒーを飲んでいた。
大きなテーブルの端っこに腰掛けた。


椅子のひとつひとつに、荷物用の麻バッグがついている。おもしろい。
ロッキングチェアがあったり、暖炉があったり、こういうの何風って言うんだろう。アメリカンカントリー風? 最近の鎌倉ではめずらしいタイプかも。
ベーコンと目玉焼きがのったトーストと、アイスカフェラテを頼んだ。1400円。
これが、すごく美味しかった。思わず、おいしい!と声が出た。
パンケーキにソーセージとか、マックドリトルとか好きな人は、絶対好きな味。パン自体もすごく美味しいし。
アイスカフェラテも、コーヒーの味がわからない私でもこれは美味しいカフェラテだと思った。でももうちょっと量欲しい。美味しいけど、セット価格にならないので安くはないな、、
でも他のメニューも食べてみたくなった。極楽寺に来たらまた寄ろう。
通常は9:00(土日は8:30)オープンだけど、今はサマータイムで10:00からの後ろ倒しになっているらしい。
ごちそうさまでした。
極楽寺の眺望抜群な一軒家カフェ
来た道を戻り、駅の名前にもなっている 極楽寺 をお参りする。
鎌倉の数ある寺社のなかでも、かなり上位に入るほど大好きなお寺。
本当は朝早い時間に参拝するがベストだと思う。
1番の魅力は、茅葺き屋根の山門をくぐると真っすぐにのびた、美しい参道だ。
今の時期、木漏れ日がきらきらと揺れて、いい風が流れていた。涼しい。
以前、この参道でこちらを導くようにひらひらと本堂に向かって舞う蝶と遭遇したことがある。参道を舞う蝶は、何か大きな力の使いだとか?
それはどうか分からないけど、この長くて美しい参道には意味があると思う。気持ちの面で。
極楽寺は、不思議と子どもの頃の感覚に戻るような、ノスタルジーを感じさせてくれるお寺だ。
毎日1秒先だけを見て手さぐりで生きてた頃の、空気の感触とか湿度とか。
今は決して大きくないけれど、かつての寺域は広大だったらしい。
そのせいかお寺の中と周りの町並みの雰囲気が一体化していて、境内地に入ると特に空気がきれいになる。




夏休みにちょっと田舎に来たような気分になりたいなら、だんぜん極楽寺だ。
鎌倉にはいろんなエリアがあるけれど、もし住むなら極楽寺がいいと前から勝手に思っている。コンビニのないこの地で暮らす自信はないけど、、
極楽寺駅からとなりの長谷駅は歩いて10分ほど。極楽切通しを下ってゆくのだけど、この道のりもまたいい。


途中に、縁結びで有名な 成就院 や古い伝説を持つ 星の井 と 虚空蔵堂 がある。
そして 虚空蔵堂 を過ぎると、急に海辺の町になる。
この辺りは不朽の名作ドラマ『最後から二番目の恋』のメイン舞台になったエリアだ。
作中のモデルとなったカフェ
長谷に来ると、やはりだいぶ人が増える。
もう暑すぎてかなりバテてたけど、せっかく来たので大好きな 光則寺 に寄った。
長谷寺にも半年以上行っていないのでお参りしたいけど、ちょっと今日は無理、、
またついでじゃない時に参拝したい。
鎌倉の桃源郷・光則寺、真夏バージョン。
100円を入れて、こじんまりと美しい朱色の山門をくぐる。
何度訪れても、この瞬間わくわくする。中に入ると幸せになる。
いつ来ても草木が丁寧に手入れされている光則寺。
夏に訪れるのは初めてだが、蓮の花がきれいだった。


本堂の目の前の蓮の先に、トンボが1匹とまっていた。
光則寺を出て、そのまま長谷駅から帰りの電車に乗った。
2時間強の滞在のために往復2時間だけど、それでも全然構わない。人生折り返し地点に立った今、目的のための手間をケチらないと決めている。
今日の鎌倉も大満足だった。
極楽寺から長谷にかけて、大満足コース