いわさきちひろの絵を見ると、死んだ母を思い出す。
私が子どもだった昭和後期、日常生活の中でいわさきちひろの絵を目にすることが多かった。
子どもの絵と言えばいわさきちひろ。美少女の絵と言えばおおた慶文。
実際 家の中でもよく見た記憶があるので、母が好きだったのだろう。
上井草の ちひろ美術館 は、うちからはすごく行きにくい。
なので長年気になりつつも、なかなか足が向かないでいた。
でも今回、谷内こうた展をどうしても見たくて、えいやと出かけた。
来週になれば子ども達が夏休みに入るので、しばらくはこうやって1人で自由に出歩けなくなる。展覧会は10/1までやっているけど、9月に行けるかどうかは確実じゃない。
新宿を通ることがとにかく気持ち的にすっごくしんどかったのだけれど、高田馬場で乗り換えればそうでもなかった。
せっかく電車を乗り継いで普段行かないようなエリアに行くので、上井草駅のまわりでお店でも探してみようとグーグルマップで検索した。初めて行く場所なのでちょっと楽しい。
駅からすぐのところに SLOPE というカフェがあって10時から開いているので、行ってみた。朝食にぴったりな焼き菓子が食べられそう。
ちょっと変わり種のスコーンやマフィンはどれも美味しそうで目移りした挙げ句、バナナクリームのスコーンサンドというのを選んだ。+アメリカーノで920円。
席は店の奥に5テーブル程で、壁際の本棚に面白そうな本がたくさん並んでいる。
自由に読んで良いのかと思い手にとったら値札がついていた。
古本として売っているらしい。透明のカバーで装備もしてある。
普段普通に行く書店には売っていないような本がたくさんあって、隅々まで物色した末に「ミス・マナーズのほんとうのマナー」と「どんぶり金魚の楽しみ方」という本を買った。


これから美術館に行くのに2冊も本を買ってしまった。リュックで来て良かった。
ちひろ美術館は、駅から5分歩いた住宅地のなかにある。
赤い外観がかわいい。
入場料は1,000円で、いわさきちひろの展示も谷内こうた展も両方見ることができる。
中のミュージアムショップと絵本カフェは入場者のみの利用と書いてあった。
まず目的の谷内こうた展を見て、ちひろの絵もじっくり堪能した。
もう、ほんと行って良かった。
語彙が乏しすぎて自分でもあきれるけど、谷内こうた展もちひろ展も最高すぎた。
2回言うがほんと行って良かった。
絵本大好きなので、その原画が見られるのがまずとても嬉しい。
谷内こうたの絵本の、真空パックしたみたいな世界が大好き。
いわさきちひろの絵もあらためてじっくり見たら、記憶のなかの100倍美しくて胸打たれた。
展示室にはちひろのアトリエを再現したコーナーもあった。
ショップは、想像よりも充実しててたくさんのグッズが売っていた。
鮮やかで優しくてかわいいちひろの絵が使われたいろんなグッズは、見てたらたしかに欲しくなってしまう。
オリジナルのお菓子も売っていて、これまた包装紙が「やーん」と言いたくなるほどかわいい。
2階には絵本の図書室があって、そのとなりには子どものちょっとした遊び場が。
カフェは今、ペットボトルなどの飲み物とお土産としても売っている小さなお菓子のみだが、テラスにもテーブルがあった。
中庭に出て、咲いている花を眺められた。


美術館まるごと優しい雰囲気と大人っぽいかわいさがただよっていて、ゆっくり長い時間をかけて行ったり来たりした。癒やされた。
大満足。


本当は帰りに恵比寿の山種美術館にも行きたかったのだけど、ちひろ美術館に長く居すぎてお腹いっぱいで、これ以上はもう無理と思って今日はあきらめた。
いいもの、美しいものも、1日に摂取できる量は限られている。
今日は行きのカフェで買った本を読む楽しみもある。
思ったほど遠くなかったので、また行こう。
鮮やかな思い出を淡くにじませたような いわさきちひろの絵は、見ていると子どもの頃の瑞々しい感覚を思い出す。
母に対するいい記憶も苦い記憶も、いろんな複雑な感情も思いも全部、
いつか、ちひろの輪郭線のない絵みたいな、優しい色彩になるだろうか。