鎌倉で写経体験してみた。
鎌倉の中でも特に人気の高いお寺、長谷寺。
広い境内に見どころも多い長谷寺だが、1角にある書院で写経もやらせてもらえる。
今回初めて写経に挑戦してみて、けっこう驚いたので、素直な感想を私なりに綴っておこうと思う。
長谷寺自体の拝観料は400円。
入山して右方向に進むと、1番奥に書院がある。
門をくぐって中へ。このお庭は自由に入れるが、奥にある写経会場は『写経以外の方は入れません。』と札が立っている。
建物は新しくきれいで、庭園もとても綺麗に手入れされている。
こんなに整った場所で写経体験できるのは、それだけで嬉しい。
建物に入るとすぐに受付の方がいるので、靴をぬいでそこで申し込み。
受付時間は9:00〜12:30。毎日受付けている。さすが長谷寺!
般若心経(時間目安90分)・延命十句観音経(60分)・写仏(120分)の3種類の中から選べて、全て1,200円だった。般若心経にした。お手本を上からなぞるスタイルだ。
次回使える優待券(400円引き)もついてきた。
筆ペンか習字道具のどちらかを借りることができる。もちろん筆ペンで。
受付を済ませて中へ。光の入る明るい部屋に、一つ一つ独立した机と椅子が並んでいる。30席ぐらいだろうか。
正面の阿弥陀様に手を合わせてから好きな席に着席。
呼吸を整えてから、さあ、はじめ。
結論から言うと、初めての写経は、ものすごく辛かった。
何が驚いたって、辛すぎて驚いた。
心が落ち着く?リラックス効果?
そんなわけない。
辛くて辛くて仕方なかった。
しんどすぎて、途中で吐きそうになった。吐きそうって言うか、臓器を吐き出しそうな感じ。
「わああああ」って叫んで逃げ出したい感じ。
始めたことを、何度も後悔した。
考えてみれば、ひとつの場所にじっとしていることも、好奇心が発動しない環境で同じことを長時間集中してやり続けることも苦手な性分なのだった。
驚いたのは、こんなに分かりきったことなのに45年間自分はそういうタイプではないと思っていたことだ。
年間365日のうち1日だって家でゆっくり過ごすことができないのに、なぜ今まで気付かなかったのだろう。
自分は座っていられるタイプだと思ってたし、怖がりで慣れている状態が好きだから、好奇心が強い方ではないと思っていた。
でも我慢できるからしてたけどじっとしていることに確実に苦痛を感じてたし、「知りたい」領域があるうちは熱意と集中力が凄まじいが、それがなくなると憑き物が落ちたように飽きてしまう。思い返せばいろいろ当てはまる。
写経は、その苦手な状況と真正面から向き合わなきゃいけなくて、逃げられなくて、臓器吐きそうになるほどしんどかった。
真面目に取り組みすぎたのかもしれない。
でも適当にやったら、1,200円出して取り組んでること自体無意味だ。
それにしても、自分の体が、こんなに思い通りに動かないとは。
1筆1筆、欲や恐れを筆先に逃しながら進める。向き合いながらも逃すのは訓練しないと難しい。
1時間半かけて、なんとか最後まで終わらせることができた。
最後に願意、住所、名前、日付を書いて仏さまに納める。
ありがとうございました。
ギリギリやり遂げたという感じ。もうぐったりだった。
朝から落ち込みモードの日だったのだけど、
午前中の落ち込みなんてどうでもよくなって、とにかくしんどくてたまらない。
右目がガンガンと痛くて、それから数時間右目からだけ涙と鼻水が出続けた。
全く苦しいだけだったかと言われると迷うけど、集中できた気持ち良さと言うよりはどっちかと言うと自分を痛めつけることで得られる快感である。
でも、涙と鼻水以外にも体に反応があって、なんだかデトックス効果を感じたので、また行くと思う。
以上、私の初めての写経体験の記録だ。
境内から見渡せる海を眺めて、ひと息ついてから昼食の店に向かった。